最終更新:2026年10月7日
いま那覇市観光協会は、英語で那覇のまちを案内するガイドを育て、その人たちが育ったあとも動き続けられる仕組みをつくる事業に取り組んでいます。観光庁の調査事業として2026年6月に採択された「那覇MICEインバウンド・ローカルガイド稼働モデル創出事業」です。
2026年8月の募集開始から、ちょうど2か月。何をどこまで進めたのかを、いったん整理してお伝えします。
なぜ、いまこの事業なのか
那覇市には、年間 943万人 が訪れています。そのうち 外国人は240万人。全体のおよそ4分の1にあたります(令和7年・那覇市観光統計)。内訳は台湾が42.7%、中国16.2%、韓国9.3%、香港5.0%、米国3.5%。市内に泊まった方は611万人、観光収入は5,145億円にのぼります。
MICEの場でも那覇は選ばれています。那覇市のMICE開催件数は611件で県内最多。うち企業の報奨旅行(インセンティブ)が 294件 を占めます(令和6年・沖縄県MICE開催実態調査)。学会や国際会議、企業の視察で那覇を訪れる方々です。
数字のうえでは、英語で案内すべき相手は、すでにこれだけ那覇に来ています。
一方で、英語でまちを案内できる地元のガイドは、まだ限られています。
協会はこれまでも、まち歩きガイドの「那覇まちま~い」に加えて、英語で案内する NAHA Walking Tours に取り組んできました。ただ、研修を終えた方が、その後も継続して案内に立ち続けるところまでは、仕組みとして届いていませんでした。 育てることと、動き続けられるようにすることが、別々になっていたのです。
この事業は、そこを設計の出発点にしています。
育成と、修了後に案内する場づくりを、はじめから一つの流れとして組む。
それが今回いちばん大きな方針の転換です。
事業の骨格
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 那覇MICEインバウンド・ローカルガイド稼働モデル創出事業 |
| 枠組み | 観光庁 調査事業(2026年6月11日採択・全国15事業の1つ) |
| 代表主体 | 一般社団法人 那覇市観光協会 |
| 実証期間 | 令和8年7月〜令和9年2月初旬 |
育成は二層構造にしました。はじめての方が入れる入門コース Naha Local Mate(NLM) と、すでに英語力のある方を対象にしたブラッシュアップコース Naha Walking Tours(NWT) です。間口を広げつつ、すぐ現場に立てる人も同時に育てる形にしています。
案内する観光コンテンツは5本を設定しました。①首里城めぐり ②壺屋めぐり ③市場周辺めぐり ④漫湖ウォーク ⑤広域(那覇・与那原・南城) です。
現在地① 人を育てる
2026年8月12日 に受講生の募集を開始し、現在75名が受講中です。当初の想定を超える応募をいただきました。
オンライン講座は全20コマ。 9月15日から10月22日にかけて、NLMが8コマ、NWTが12コマです。講師は、MICE通訳の現場を知る実務者から、沖縄の歴史・自然の研究者まで7名にお願いしました。
| 領域 | 講師 |
|---|---|
| MICE・接遇・英語実務 | マーシュ ゆかり |
| 英語表現・MICE英語司会 | 津波 真澄 |
| 那覇の歴史・文化/東御廻り | 宮城 能彦 |
| インタープリテーション | 鹿谷 麻夕 |
| 漫湖の自然 | 宮崎 悠 |
| 高付加価値ツアーの造成 | 多和 史織 |
| ガイドの現場と修了後の道すじ | 杉浦 裕樹 |
講座の軸に据えたのは インタープリテーション という考え方です。調べれば分かる情報は、いまやAIが調べて回答してくれます。地域の価値や文化の意味を、目の前の相手を感じて、その人の気持ちに合わせて伝え、人と場所をつなぐ——そこが人の仕事として残る。全コマをこの考え方で貫いています。
対面での共通研修は4回。 9月12日に顔合わせ、10月3日に首里城、10月4日に漫湖水鳥・湿地センター。そして10月24日が修了式です。
ガイドを支える人材も育てています。9月6日にコーディネーター講習(NTCP)を4コマ実施し、18名が受講しました。ガイドと依頼をつなぐ役割を担う人たちです。この中から2名をコーディネートスタッフとして9月11日から採用し、受講生への連絡や現場の調整にあたっています。
受講生専用ページを公式サイト内に開設
受講生が講座をいつでも見返せるよう、この公式サイト内に受講生専用ページを設けました。NLM・NWTのコースごとに1ページずつ用意し、それぞれのコースの受講生だけが入れるようにしています。見逃した回の動画と、講師が用意した資料をここにまとめています。
仕事や家庭の都合でリアルタイムに参加できない回があっても、あとから追いつける。受講を続けられる形にすることも、育成の設計のうちだと考えています。
現在地② 案内する場をつくる
育てるだけで終わらせないために、修了と同時に立てる場を用意しています。
11月から、英語対応ガイドツアー4商品の販売を順次開始します。 首里城めぐり、壺屋めぐり、市場周辺めぐり、そして漫湖ウォーク。いずれも今回の研修で扱ったコースです。修了した方が、学んだその場所で、実際のお客さまを案内することになります。
10月25日には、オンとオフで学ぶ「ローカルガイド道場」 を開設する予定です。修了したあと、ひとりで練習するのは難しいものです。オンでは、AIも活用した自習の仕組みを実装し、地点ごとの短い説明を組み立てて練習を重ねられるようにします。オフでは、仲間の前で声に出して見せ合い、現場で試します。その反復を、修了後も続けられる場として設計しています。研修が終わった日から、次の現場までの間を埋めるための仕組みです。内容が固まり次第、あらためてご案内します。
現在地③ 発信を組み直す
ガイドが育ち、ツアーができても、知られなければ人は来ません。 そこで協会の発信そのものを、役割で分けて組み直しています。
| 媒体 | 取り組み |
|---|---|
| 公式サイト(NAHA NAVI) | 那覇市観光協会の公式情報 |
| YouTube | 新しいチャンネルを開設して整備を進めています |
| note「Naha Local Guide Journal」 | 参加型の編集部を設置しSNSと連動して展開 |
このうち、note「Naha Local Guide Journal」と連動するSNS(Instagram、X、Facebook、Threads)が新しい試みです。
Naha Local Guide Journal(NLGJ) は、2026年9月に立ち上げたnoteによるウェブマガジンです。協会からのお知らせではなく、ガイド自身が那覇の魅力や自身の体験などについて発信する場所として設計しました。
特徴は、編集部を受講生から募ったことにあります。9月12日の研修をきっかけに、受講生とコーディネートスタッフあわせて約10名が編集部に加わり、10月1日に第1回の「公開編集会議」を開きました。記事をどんなテーマで束ねるかを、参加者と一緒に決める場です。編集部以外の受講生や、協会・行政の関係者も加わり、16名ほどが参加しました。
「公開」としているのは、編集方針を事務局の中で決めてから下ろすのではなく、決める場そのものを開いているからです。ガイドが案内する人であると同時に、那覇について語れる人であるなら、その言葉がそのまま媒体になる。そう考えています。
NLGJは11月からの本格稼働を目指して準備を進めています。11月は、英語対応のガイドツアーの販売が始まる月でもあります。
発信の相手先の整備も進めました。メディアや支援機関の連絡先を整理してデータベース化。受講生の募集では 8月31日に那覇市公式ホームページ、9月1日には沖縄観光コンベンションビューロー「育人」 に掲載いただいています。
続ける仕組みをつくる
この事業はR8年度の実証ですが、実証が終わったら終わり、にしないための場も用意しました。
検討部会を那覇市観光協会に設置し、第1回を10月26日に開きます。 観光・文化・教育・行政の関係者が集まり、育ったガイドが動き続けるための仕掛けや仕組み、地域に何が必要かを考える場です。研修やツアーの現場で出てきた気づきが、ここで地域の検討材料になります。
そして 2027年1月29日、てんぶす那覇・テンブスホールで「Naha Local Guide Forum 2026」を開催します。1年間の実証で分かったことを、那覇の外にも開いて共有する場にしたいと考えています。
これから
| 時期 | 予定 |
|---|---|
| 10月24日(土) | 対面研修Day4・修了式 |
| 10月25日(日) | ローカルガイド道場 開設 |
| 10月26日(月) | 検討部会 第1回 |
| 2026年11月〜 | 英語ガイドツアー4商品 販売開始/NLGJ本格稼働 |
| 12月21日(月) | 検討部会 第2回 |
| 2027年1月29日(金) | 検討部会 第3回/Naha Local Guide Forum 2026(テンブスホール) |
| 2027年2月 | 総括 |
一般社団法人那覇市観光協会は、昭和29年1月9日の創立から70年あまり、那覇の観光に携わってきました(昭和31年10月5日に社団法人認可、平成25年4月1日に一般社団法人へ移行)。現在354社の会員とともに事業を進めています。
その協会が、いま「案内する人を育て、その人が動き続けられるようにする」 という課題に正面から取り組んでいます。進捗は、この記事で随時お伝えしていきます。
出典・お問い合わせ
本記事で用いた統計
- 入域観光客数・宿泊者数・観光収入:那覇市「那覇市観光統計(令和7年度版)」
- MICE開催件数:沖縄県「沖縄県MICE開催実態調査(令和6年版)」※令和7年版は調査中
お問い合わせ
一般社団法人 那覇市観光協会
沖縄県那覇市牧志3丁目2番10号 てんぶす那覇1階
TEL 098-862-1442(8:30〜17:30)
関連リンク
- Naha Local Guide Journal(note)
https://note.com/nahalocalguide - 那覇MICEインバウンド・ローカルガイド講座について
https://www.naha-navi.or.jp/magazine/2026/09/53123/ - ガイドと歩く「那覇まちま~い」
https://www.naha-navi.or.jp/magazine/2026/09/54305/
更新履歴
| 更新日 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月7日 | 初出 |